KOYODAI森のひろば

向陽台総合学院

三重県松阪市向陽台総合学院生徒たちへ届けたい詩

三重県松阪市向陽台総合学院生徒たちへ届けたい詩

茨木のり子さんの詩です。

みんなが何かを受け取ってくれれば

そしてマイセルフ・スモールステップ!

そんな想いで視写します。


笑って

ぽっかり明るい世界が むこうに

長い長い隧道のむこうに まあるく

さあ出るのだ

抜け出るのだ

野の花いちめんゆれにゆれ

風も吹いてていい匂い

光かがようあちらの世界へ

さあ


語ってくれるのは

死すれすれまで行って生き返ったひと

名前を呼ばれ

しつこく呼ばれ

引きもどされて

意識の戻る寸前まで苛々していたの

うるさいわねぇ

ポンとひとつ背中を押してくれさえしたら

あちらのほうに行けるのに

ああ 莫迦ン!


不意によみがえる古い古い寓話

むかし西域に美しい娘がいたという

晋の王が遠征の途次

有無を言わせず馬上に掠奪

娘は嗚咽とどまらず襟もとしとど

どうされるのやら不安で

何処へ行くのやら皆目わからず

胡地忘れじがたく しおたれて

泣く泣く曳かれ 都に到れば

山海の珍味 着たい放題

王の夫人となって寵を得るや

「あら こんなことなら 泣くんじゃなかったわ」

秋波 嫣然 なまめいた 

その名は驪姫


(略)


ねぇ

笑って!

あちらで

驪姫という娘のように

はればれと

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